このページでは、先日発表されたノバルティスファーマと大塚製薬のコプロ製品である期待の新薬である心不全薬「Entresto(エントレスト)」に関して深堀してみたいと思います。
このページからわかること
ノバルティスと大塚製薬のコプロ製品 心不全薬「Entresto」に関して理解できる
Entresto(エントレスト)について
作用機序
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)「LCZ696」(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)は、心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(ナトリウム利尿ペプチド系)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する新しいタイプの薬剤です。

適応症(今後の拡大)
国内で申請中の適応症:心不全
海外で取得済みの適応症:HFrEF(駆出率が低下した心不全患者)
現在計画中の適応症:HFpEF(駆出率が保たれた心不全患者)、小児心不全、心筋梗塞後の心機能保持
代表的な臨床試験
PIONEER-HF試験:HFrEF対象のPhaseⅢ試験【終了】
PARAGON-HF試験:HFpEF対象のPhaseⅢ試験【終了】
PARALLAX試験:HFpEF対象のPhaseⅢ試験【進行中】
PANORAMA-HF試験:小児心不全対象PhaseⅡ/Ⅲ試験【進行中】
PARADISE-MI試験:心筋梗塞対象PhaseⅢ試験【進行中】
特許期間
アメリカ:2027年
EU:2028年
日本:2028年(心筋梗塞、小児適応追加で延長可能性あり)
Entrestoの売上予測
Entrestoのピークセールスは、世界で5000億円を超えると予測されています。しかしながら、HFpEF対象のPARAGON-HF試験で予想通りの結果が得られず今後下方修正されるかもしれない。
ノバルティスと大塚製薬のコプロ
ノバルティスの現状(国内)
ノバルティス創薬のエンレスト(サクビトリル/バルサルタン)で、循環器領域のプレゼンスはもともとディオバン(バルサルタン)で高かったが、ディオバン事件のおかげで循環器医への評判はがた落ちした。そこで、ノバルティス期待の新薬を日本で拡販するためにパートナーを探していたと思われる。
大塚製薬の現状(国内)
大塚製薬は自社開発「サムスカ」の販促活動により循環器領域のプレゼンスを上げてきた。しかしながら、そのサムスカの心不全治療の特許切れも迫っている。2020年~22年の間に切れる予定だ。もともとサムスカは薬価が高い薬剤と有名で、しかも2019年には全医薬品の中で国内売上トップ10にも入った薬剤だ。特許切れ後の後発品浸透率は高いと予測される。そこで、サムスカの人脈を活用できその売上減を補える薬剤を模索していたものと思われる。
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大塚ホールディングス
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Entrestoのライバル製品は?
SGLT2
フォシーガをはじめ、いくつかのSGLT-2阻害薬は慢性心不全への効果が証明されている。しかしながら、どの臨床試験も「標準治療」に上乗せしての効果を評価した試験であり、エントレストはこの標準治療にあたる可能性が高いので、フォシーガなどのSGLT-2阻害薬をアドオンする治療方針が今後取られていくものと思われる。
ベルイシグアト
MSDとバイエルで共同開発しているベルイシグアトも慢性心不全患者を対象としたの第Ⅲ相臨床試験 VICTORIA で 主要評価項目を達成したとの報告がある。こちらの製品も今後上市される予定だ。
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